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オオクワガタ

 ♂体長27.0〜77.0mm、♀体長25.0〜47.0mm。北海道〜九州まで分布する。青森県内では最も珍しいクワガタ。十和田市近辺、天間林村、白神山地などで、主に灯火に飛来した個体が採集されているが殆どが♀。新成虫は8月中旬頃から野外に出て活動し、そのまま成虫越冬し、3〜4年生存する。青森県のオオクワガタは上翅側縁部が赤くなる傾向があるが、近県の個体と比較検討されていない。2009年には八戸市南郷区島守の自販機前で前胸が潰れた本種の♂が発見されているが、分布しているかは不明である。♂の65mmオーバー、♀の44mmオーバーは稀。

大歯型♂ 十和田市産 VII-1998 飼育羽化
中歯型♂ 十和田市産 VII-1998 飼育羽化
原歯型♂ 十和田市産 VII-1994 飼育羽化
♀ 46.9mm 十和田市産 IX-1999 飼育羽化

十和田市産オオクワガタ上翅側縁部

文章、写真:田野岡 嗣典
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ヒメオオクワガタ

 ♂体長29.0〜58.0mm、♀体長23.0〜42mm。八戸では見られないが、青森県では比較的低い標高(500mほど)でも見られ、十和田市周辺、青森市周辺、下北、白神山地、津軽半島など広く生息している。8月中旬頃から新成虫が発生し、成虫はヤナギやハンノキなどの枝を傷つけ樹液を吸う。殆どの場合♀が樹皮を剥がして樹液を出した所に♂が便乗して樹液を舐め、その上ちゃっかり交尾をする。稀に灯火にも飛来する。そのまま越冬し翌年9月頃まで生存している。県内では♂の53mm、♀の39mmオーバーは稀。

大歯型♂ 十和田市 2-IX-1991
中歯型♂ 十和田市 28-VIII-1996
原歯型♂ 十和田市 2-IX-1994
♀ 34.0mm 十和田市 7-IX-1994


文章、写真:田野岡 嗣典
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コクワガタ

 ♂体長17〜54.4mm、♀体長21〜33mm。北海道〜九州まで生息し、日本産クワガタの最普通種。平地種のため、高地に行くと個体数は減少する。八戸市でも平地に広く生息しており、もっとも身近なクワガタといえるが、年々少なくなってきている。県内では♂の50mmオーバーは稀。コナラ、ミズナラの樹液、腐った果実、灯火など様々な場所で採集できる。成虫で2〜3年生存する。

大歯型♂ 八戸市 10-VIII-1988
中歯型♂ 十和田市 26-VIII-1986
原歯型♂ 十和田市 29-VII-1979
♀ 十和田市 4-IX-2000

文章、写真:田野岡 嗣典
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スジクワガタ

 ♂体長14.5〜40mm、♀体長14〜24mm。♂の大アゴに四角くに広がった大きい内歯が一対と、先端近くに小歯を持つ。♂の小型個体や♀は上翅の溝がはっきりしておりスジクワガタと分かるが、大型の♂は溝が消え、コクワガタと間違えるほど良く似た形をしている。八戸市でもヤナギ類、コナラ、ミズナラの樹液が染み出た割れ目に潜んでいる。青森県でも平地〜山地まで広く生息している。成虫は5月〜10月くらいまで活動しており、灯火、樹液、腐った果実などにあつまる。県内では♂の32mmオーバーは稀。
大歯型♂ 三沢市 20-VIII-1994
中歯型♂ 十和田市 30-VIII-1995
原歯型♂ 十和田市 9-VII-1994
♀ 十和田市 30-VIII-1995
文章、写真:田野岡 嗣典
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アカアシクワガタ

 ♂体長23.4〜58.5mm、♀体調24〜32mm。名前の通り腹面の符節の下部や腹部が赤いところからアカアシクワガタといわれる。八戸では最普通種で、低地から比較的標高の高い山まで広く分布している。コナラ、ミズナラなどの樹液が染み出したところで採集出来るが、高山地だとヤナギ類の樹皮を♀が剥がして樹液を出し吸っている。♂はそこに集まり交尾する。山地では9月中旬ごろから新成虫が発生し、そのまま成虫で越冬し、翌年の9月頃まで生存する。♂の50mmオーバーは稀。

大歯型♂ 天間林村 4-IX-2000
中歯型♂ 天間林村 22-IX-2000
原歯型♂ 天間林村 22-IX-2000
♀ 天間林村 4-X-2000

アカアシクワガタ腹面

文章、写真:田野岡 嗣典
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ノコギリクワガタ

 ♂体長24.2〜74.7mm、♀体長23.2〜30mm。水牛のような大アゴを持った人気のあるクワガタ。八戸でもヤナギ類、コナラ、ミズナラの樹液に集まっている個体や、灯火でもよく採集される。青森県でも全域に生息しており親しみのあるクワガタである。幼虫は枯死、衰弱した樹木の根際を食べており、名川町などのリンゴ畑で枯れたリンゴの木を掘り起こしてみると、殆ど本種の幼虫に食害されている。北海道〜東北地方の個体は遺伝的に大顎の曲がりが強く体長が伸びない。本県の♂の63mmオーバーは稀。尚、過去八戸市において当時小学生がノコギリクワガタの左側半分が♂右側半分が♀の完全雌雄型(雌雄モザイク、♂♀型)を採集しているが、現在標本の所在は不明である。

大歯型♂ 天間林村 22-IX-2000
中歯型♂ 天間林村 4-IX-2000
原歯型♂ 天間林村 22-IX-2000
♀ 天間林村 4-IX-2000

雌雄モザイク個体
7-VI-2010 愛知県産

文章:田野岡 嗣典
写真:田野岡 嗣典,堀部 広綱
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ミヤマクワガタ

 ♂体長22.9〜78.6mm、♀体長23〜40mm。頭部に耳状の突起がある。♂は羽化直後、体に細かい金色から褐色の毛が生えており、非常に美しいが、日がたつに従い、微毛が取れ地肌が露出し黒色部分が目立ってくる。ミヤマ(深山)の名前の通り、山間部に多く見られる。大アゴの形が前蛹時の生育温度によって歯の形が変わり、基本型、エゾ型、フジ型の3型に分けられる。青森県より北の北海道では気温の関係で殆どがエゾ型であるが、道南地方では基本型や稀にフジ型も発生する。本県でも同様に、山間部ではエゾ型が多い。八戸市でも是川地区、吹上地区、根城地区、南郷区島守で記録がある。青森県内ではほぼ全域で生息しており、十和田市、青森市などでよく採集されている。腹面の符節の下部が黄色になる。成虫は灯火や、カンバ類、ナラ類、カバノキ類、ハンノキ類、ヤナギ類の樹液にあつまる。本県では70mmを越す大型の♂は稀。

大歯型♂ 十和田市 1-IX-2000
中歯型♂ 十和田市 1-IX-2000
原歯型♂ 十和田市 -IX-2000
♀ 十和田市 4-IX-2000

ミヤマクワガタ腹面



エゾ型
基本型
フジ型
 第一内歯が著しく小さく、先端二股部分は下側が長く一番先に当たる。  第一内歯はやや大きく先端の二股部分は上下共に同程度。大顎の両端を合わせると第一内歯はやや届かない。  第一内歯が著しく発達し両端を合わせると大顎先端が離れ、先端の二股部分は下側が小さい。

文章、写真:田野岡 嗣典
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オニクワガタ

 ♂体長18〜25mm、♀体長16〜20mm。小さくて地味なため人気種というわけではないが、アゴの形は中々格好良い。八戸では採集されていない。青森県ではブナ帯に生息し、八甲田山周辺や白神山地などで見られ、8月初旬頃からブナの立ち枯れや倒木、灯火に集まるが、樹液には集まらない。

大型♂ 新郷村 15-VIII-2009
中型♂ 十和田市 17-VIII-1996
小型♂ 十和田市 17-VIII-1996
♀ 十和田市 17-VIII-1996

文章、写真:田野岡 嗣典
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ツヤハダクワガタ

 ♂体長17〜23mm、♀体長14〜18mm。八戸では採集されていない。青森県では比較的標高の高い地域に生息しており、八甲田山周辺などで採集されている。全身が真っ黒で光沢があり、成虫、幼虫ともに赤枯れ材に見られる。殆どその材からはなれず成虫採集は難しい。成虫は稀に灯火に飛来するが、樹液には集まらない。本県の♂の19mmオーバーは稀。

大型♂ 十和田市 11-XI-2008
中型♂ 十和田市 11-XI-2008
小型♂ 十和田市 11-XI-2008
♀ 十和田市 11-XI-2008

文章、写真:田野岡 嗣典
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ルリクワガタ

 ♂体長8〜10mm、♀体長8〜10mm。♂は瑠璃色に輝き、♀は緑、銅、藍、など色彩変異が多く、愛好者は多い。成虫は6月ごろ発生し、各種広葉樹の立ち枯れや倒木に産卵する。産卵の際、8mmほどの特徴的なマーク((・))を付ける。成虫は樹液や灯火で採集できないため、一般的には珍しい種。まだ成虫が何を食べているか生態が不明である。青森県ではブナ帯を中心に生息しており、八戸では発見されていない。岩手県では海岸に近い山沿いでも生息している。

♂ 十和田市 25-X-2009
♀ 十和田市 25-X-2009

文章、写真:田野岡 嗣典
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マダラクワガタ

 ♂体長4〜5mm、♀体長4〜5mm。日本産クワガタで一番小さいクワガタである。 全身褐色で、名前の通り黒いマダラ模様がある。体は丸くクワガタとは思えない姿をしているが、♂はよく見ると立派な大顎がある。成虫、幼虫ともに赤枯れの朽木の中で暮らしているおり、成虫は野外に殆ど出ないため、発見するのは難しい。樹液、灯火にも集まらない。八戸では得られていないが、青森県では十和田市近辺の比較的標高の低い200m前後の産地から高山帯まで広い範囲で得られている。

♂ 十和田市 3-XI-2012
♀ 十和田市 3-XI-2012

文章:田野岡 嗣典
写真:吉川 克哉
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マグソクワガタ

 ♂、♀共に体長6〜8mm。大アゴは全く無いが、これでもクワガタである。 ♂に比べ♀がとても少なく、生態も他のクワガタと異なる。本種の発生時期は5月〜6月。山地の河川の上流〜下流の砂が積もり流木がある草木の上で発見されており、八戸ではまだ未記録である。青森県では青森市周辺の河川や、十和田市周辺の河川で得られている。樹液、灯火に集まらない。

♂ 北海道 30-V-1994

文章、写真:田野岡 嗣典
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