コオニヤンマ Sieboldius albardae
県内では三八上北地方、津軽地方で記録されており、八戸市内でも見られます。 真夏の頃、岩がごろごろしたような河川の上・中流域や、さざなみが立つような湖の湖畔の石や砂の上にべったりと止まっている姿を見ることが出来ます。「ヤンマ」という名前が付き、大きくていかつい体形をしていますが、頭部の2つの複眼はくっつかずに離れているなど、サナエトンボの仲間です(画像を参照してください)。
コオニヤンマ♂背面 |
コオニヤンマ♂横面 |
コオニヤンマ背面拡大 |
コオニヤンマ顔面 |
文章:幸田 洋平
写真:市川 裕二
ページ先頭に戻る写真:市川 裕二
ウチワヤンマ Sinictinogomphus clavatus
県内では三八上北地方、津軽地方で記録されており、珍しい種類ではないのですが、それほど目にする機会は多くありません。 真夏の頃、開放水面がある深くて大きなため池や巨大な沼、貯水池などで、水面から突き出した枝の先にちょこんと止まっているのが見られます。「ヤンマ」という名前が付き、大きくていかつい体形をしていますが、頭部の2つの複眼はくっつかずに離れているなど、サナエトンボの仲間です。 名前の通り、腹の先が特徴的な「うちわ」のような不思議な形をしているので、見間違えることはありません。
ウチワヤンマ♂横面 |
ウチワヤンマ♂横面拡大 |
文章:幸田 洋平
写真:市川 裕二
ページ先頭に戻る写真:市川 裕二
メガネサナエ Stylurus oculatus
現在青森県に記録のあるトンボの中で、最も見つけにくい種類のひとつです。資料によると、1960年代前半ころまでは県内各地の河川や沼に生息しており、1990年代前半頃には十和田市で発生していたという記録が残っていますが、それ以降は全く発見されていません。
やや大きめな中型のサナエトンボで、他県の生息地では巨大な湖の湖畔やそこから流れ出す河川、平野部を流れる河川中流域で観察されているようです。
本県においては生息環境や外形態から、ミヤマサナエやウチワヤンマなどと見間違わないようにすることが必要です。
文章:幸田 洋平
写真:市川 裕二
ページ先頭に戻る写真:市川 裕二
ホンサナエ Gomphus postocularis
県内では各地の限られた地点で記録されている珍しい種類です。 成虫は当県では長い間記録が途絶えていましたが、最近になって下北地方の水路、津軽地方や南部地方の河川の一部で生息しているのが発見されました。6月には岸辺の石や砂の上、あるいは植物の葉上などに止まっている個体を見ることが出来ます。太短く、ずんぐりとした体形をした存在感のあるサナエトンボで、春に現れる華奢なサナエトンボの仲間の中では見間違えることはありません。
本県でも1960年代頃までは、各地の水田地帯に普通に見られたという記録が残っていますが、その後に減少し、現在では全国的にも激減している種類となってしまいました。
ホンサナエ♂ |
ホンサナエ拡大 |
ホンサナエ横面 |
文章:幸田 洋平
写真:市川 裕二
ページ先頭に戻る写真:市川 裕二
オナガサナエ Melligomphus viridicostus
県内では県南地方と津軽地方で記録されています。本県が生息の北限で、1980年代までの記録を最後に確認されていませんでしたが、その後に県南地方で多産地が発見されて以降、津軽地方でも生息地が発見されています。7月下旬頃から、平地や丘陵地を流れる岩がごろごろしていて遠くに林が見えるような河川の中流域で見られ、そんな川の中の流れの速い瀬の部分に転がっている岩の上によく止まっています。また、夕方頃に延々と止まらずに水面を飛翔し続ける個体を観察することもあります。
いわゆる黄色と黒の「オニヤンマ柄」をした中型のサナエトンボで、♂の腹の付属器はフックのような形をしています。
オナガサナエ♂背面 |
オナガサナエ♂横面 |
オナガサナエ♀背面 |
オナガサナエ♀横面 |
オナガサナエ♀顔面 |
文章:幸田 洋平
写真:市川 裕二
ページ先頭に戻る写真:市川 裕二
ミヤマサナエ Anisogomphus maacki (Selys)
県内では県南地方と上北地方で記録されています。オナガサナエと同じく本県が生息の北限になりますが、オナガサナエほど多くは見られず、どちらかと言えば稀な種類です。成熟した個体はオナガサナエより若干遅く8月中旬頃から平地や丘陵地を流れる河川の中流域で見られ、オナガサナエと一緒にいることもありますが、やや泥っぽくてゆるやかな部分に多く見られます。
未熟な時期には大きな距離を移動するようで、近くに川のない山の山頂などでみかけることがあります。
ミヤマサナエ♂背面 |
ミヤマサナエ♂横面 |
ミヤマサナエ♀背面 |
ミヤマサナエ♀横面 |
ミヤマサナエ♀顔面 |
文章:幸田 洋平
写真:市川 裕二
ページ先頭に戻る写真:市川 裕二
ダビドサナエ Davidius nanus (Selys)
県内では各地で普通に見られます。成虫は春早く5月中には羽化し、6月には平地の河川や自然豊かな里の水路などで見ることができます。春に見られるサナエトンボのうち、同じような環境で見られる良く似た種類にクロサナエDavidius fujiama Fraserがいます。雄は腹の先の尾部付属器の形で区別ができますが、雌は野外で区別するのはなかなか大変です。ダビドサナエの雄の尾部付属器はフックのような形をしています。詳しくは専門書(検索図説等)を参照してください。
山沿いに多いクロサナエに比べ、平地の河川に多く、春の里山の流れを代表するサナエトンボです。
ダビドサナエ♂ 十和田市増沢 2002年6月 |
文章:幸田 洋平
写真:市川 裕二
ページ先頭に戻る写真:市川 裕二
クロサナエ Davidius fujiama Fraser
県内では各地で普通に見られます。成虫は6月にやや山寄りの小規模な渓流やそれに沿って伸びる林道沿いの葉上などでよく見られますが、標高の低い場所にある流れでも見られます。近い仲間のダビドサナエDavidius nanus (Selys)と良く似ており、雄は腹の先の尾部付属器の形で区別ができますが、雌は野外で区別するのはなかなか大変です。詳しくは専門書(検索図説等)を参照してください。
クロサナエ♀ 黒石市大川原 2007年6月 |
文章:幸田 洋平
写真:市川 裕二
ページ先頭に戻る写真:市川 裕二