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オオチャイロハナムグリ Osmoderma opicum

 青森県内では主にブナ帯の山間部に見られるが、個体数は少なく珍しい。成虫は花や樹液にもほとんど集まらず、樹 上の高所を飛翔していたり、大木の洞周辺についている事が多く、発見は容易ではない。♂成虫はジャコウの様な強い 芳香を放ち、標本にした後もしばらく匂いが残る為、標本箱やタッパーの中も芳香が充満する。
 幼虫は大木の洞に溜まった朽木屑を食べて育つ為、大木の洞が残る様な環境がなければ生き残れない。野外では非常 に限られた環境にしか適応出来ない様だが、飼育はかなり容易で、飼育下ではかなり雑に飼っても生育する、意外にタ フな昆虫である。幼虫は発酵マット等で飼育出来る。簡単に増やせるので(1♀で20〜30卵前後産卵)、もし採集した ら飼育して増やして欲しい。飼育下では卵から約1〜2年程で成虫になるが、1年で羽化したものは小さくなる。

・体長:26〜36o。成虫の出現期:7〜8月。
・青森県内での発見難易度 ★★★★
・青森県レッドリスト:希少野生生物 Cランク
・環境省レッドリスト:準絶滅危惧

オオチャイロハナムグリ 十和田市法量 産

文章、写真:市川 裕二
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アカマダラハナムグリ Anthracophora rusticola

 青森県内では、現在まで10頭に満たない数の採集例しかない、極めて珍しいハナムグリである。過去に採集された地 点は、弘前市や五所川原市等、いずれも津軽地方の低地で、それ以外の県南地方や下北地方からの採集・目撃例は、今 のところない。成虫は樹液に集まる。

・体長:15〜21o。成虫の出現期:7〜8月。
・青森県内での発見難易度 ★★★★★

アカマダラハナムグリ 山梨県 産

文章、写真:市川 裕二
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ムラサキツヤハナムグリ Protaetia cataphracta

 青森県内では平地の雑木林から高標高のブナ帯山地まで見られるが、あまり多くはない。八戸市・県南地方では非常 に少なく珍しい。成虫は花や樹液に集まる。幼虫は古木の洞等に溜まった朽木屑を食べて育つ。近縁種のミヤマオオハ ナムグリとよく似ているが、♂は腹部裏面に深い縦溝がある事、上翅点刻が深く密な事で判別可能。
 幼虫は発酵マット等で飼育可能。飼育は容易で簡単に増やせるので(1♀で20卵前後産卵)、もし採集したら飼育し て増やして欲しい。飼育下では卵から約1年程で成虫になる。また、成虫になってからも数年生き、寿命が長い。

・体長:20〜27o。成虫の出現期:6〜8月。
・青森県内での発見難易度 ★★★

ムラサキツヤハナムグリ 八戸市是川産・飼育個体
ムラサキツヤハナムグリ 腹面

ムラサキツヤハナムグリ ♂点刻列

文章、写真:市川 裕二
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ミヤマオオハナムグリ Protaetia lugubris insperata

 青森県内では主にブナ帯の山間部に見られるが、あまり多くはない。近縁のムラサキツヤハナムグリが平地にも生息 するのに対し、本種は山間部に限られる。成虫は花や樹液に集まる。幼虫は古木の洞等に溜まった、朽木屑を食べて育 つ。近縁種のムラサキツヤハナムグリとよく似ているが、♂は腹部裏面に縦溝がなく浅く凹む事、上翅点刻が浅く、全 体にツルンとしている事で判別可能。
 幼虫は発酵マット等で飼育可能。飼育は容易で簡単に増やせるので(1♀で20前後産卵)、もし採集したら飼育して 増やして欲しい。飼育下では卵から約1年程で成虫になる。

・体長:23〜27o。成虫の出現期:6〜8月。
・青森県内での発見難易度 ★★★

ミヤマオオハナムグリ 十和田市法量産・飼育個体

ミヤマオオハナムグリ ♂点刻列
ミヤマオオハナムグリ ♂腹面

文章、写真:市川 裕二
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アオカナブン Rhomborhina unicolor unicolor

 青森県内では主に平地の雑木林に見られ、高標高の山地にいく程少ない。透明感のあるグリーンの美麗種だが、高所 を飛んでいる事が多く、その美しさはあまり人目に触れにくい。成虫は樹液や腐果に集まる。バナナ等を発酵させた果 実トラップを使うと、容易に採集・観察出来る。普通種だが幼虫飼育は難しく、詳しいライフサイクルは分かっていな い。

・体長:26〜30o。成虫の出現期:7〜8月。
・青森県内での発見難易度 ★

アオカナブン 八戸市是川 産

文章、写真:市川 裕二
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ヒメトラハナムグリ Trichius succinctus tokushimus

 青森県内では主に山地に見られ、各種の花に集まる。ハチの様な模様と、全身長い毛に覆われた愛らしいハナムグリ である。飼育は容易で、飼育下では成虫はエサゼリーを与えれば食べる。発酵マットを入れたケースに入れておけば、 簡単に産卵する。飼育下では卵から1年程で成虫になる。

・体長:10〜14o。成虫の出現期:7〜8月。
・青森県内での発見難易度 ★

ヒメトラハナムグリ 新郷村間木ノ平産・飼育個体

文章、写真:市川 裕二
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アオアシナガハナムグリ Gnorimus subopacus viridiopacus

 青森県内では主にブナ帯の山間部に見られるが、あまり多くはない。成虫は各種の花に集まる。♂♀の見分け方は、♂は中足脛節が湾曲している事、翅全体ツヤ消し状(♀は光沢のスジがある)な事等で判別は容易。
幼虫は市販の発酵マット等で飼育可能。飼育は非常に容易で簡単に増やせるので、もし採集したら飼育して増やして欲しい。飼育下では卵から約1年で成虫になる。
累代飼育も容易で、羽化後に成虫はすぐに交尾を始めるが、1日中♂は♀の背中に張り付いて、なかなか離れない、かなりの"おしどり夫婦"ぶりを見せる昆虫である(野外で採った成虫も同様である)。

・体長:15〜22o。成虫の出現期:6〜8月。
・青森県内での発見難易度 ★★★

アオアシナガハナムグリ 十和田市法量産・飼育個体

文章、写真:市川 裕二
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